イギリスのサマータイムはいつから?背景や利点、仕組みを解説

イギリスでは毎年、時計が1時間進む「サマータイム」のシステムが導入されています。一見不思議に思えるこの制度ですが、実は多くのメリットが詰まっています。
本記事では、サマータイムの導入背景や利点、その仕組みを紹介しています。
1. サマータイムとは?起源と歴史

イギリスのサマータイム(British Summer Time, BST)は、夏の間、時計を1時間進めることで日照時間を有効活用する制度です。
サマータイムのアイデアは、1784年にアメリカの政治家ベンジャミン・フランクリンが提唱し、1907年にイギリスのウィリアム・ウィレットが具体的な提案を行いました。その後、1916年にドイツで初めて採用され、その後イギリスでも導入されました。
現在、約70か国が何らかの形でサマータイムを採用しており、その多くはヨーロッパや北アメリカに集中しています。
サマータイムの賛否は導入当時から各国で議論が続いていますが、英国では年に2回の時間変更が引き続き行われています。
2. サマータイムの背景と暮らしに与える3つのメリット

日本ではサマータイム(夏時間)が導入されていないため、「わざわざ時計をずらす必要があるの?」と疑問に思う方も多いでしょう。しかし、イギリスに住む筆者が感じるのは、日照時間を有効活用することで得られる暮らしの豊かさです。
イギリスは、年間を通じて昼夜の長さの差が非常に大きい国です。冬には朝8時頃まで暗く、夕方4時には日が沈んでしまいます。一方、夏は夜10時頃まで明るいこともあります。
実際にイギリスで生活していると、日光が人々の生活に与える影響はとても大きいと感じ、特に冬の暗く寒い日々を経験した後、夏の長い日照時間は気分を明るくし、活動的にしてくれます。サマータイムはこのような環境下で、貴重な夏の陽の光をさらに楽しむための仕組みと言えます。
冬至の日照時間表 | ロンドン | 東京 |
日の出 | 8:03 | 6:47 |
日没 | 15:53 | 16:31 |
日照時間 | 7時間49分 | 9時間44分 |
夏至の日照時間表 | ロンドン | 東京 |
日の出 | 4:43 | 4:25 |
日没 | 21:21 | 19:00 |
日照時間 | 16時間38分 | 14時間34分 |
利点1:暮らしの充実
サマータイム期間中、仕事を終えた後でも明るい時間が続き、知人や家族で過ごす時間が増えます。例えば、夕方5時に退勤しても、外でジョギングをしたり、公園でピクニックを楽しんだりすることが可能です。夏は野外で映画の上映イベントや音楽フェスティバルが数多く開催されるなど、お金を使う機会も増えるため、この制度には経済効果もあると言われています。
利点2:エネルギーの節約
日中の明るい時間を最大限に利用することで、家庭や職場での照明の使用が減り、エネルギー消費を抑える効果があります。
利点3:犯罪抑止効果
夕方の明るさが長く続くことで、犯罪の発生率が低下するというデータもあります。特に暗い時間帯に起こりやすい犯罪を減らすことで、地域社会の安全性が向上します。
短所:健康への悪影響
アメリカのある研究では、春の時間変更後には心臓発作のリスクが10%増加することがわかっており、睡眠パターンを1時間変えることは健康への悪影響を及ぼすと言われています。
3. イギリスのサマータイム開始・終了のルールと時計調整のポイント

サマータイムの期間中は、イギリスの標準時であるグリニッジ標準時(GMT)より1時間進めた時間が使用されます。これにより、朝が1時間短くなる一方、夕方が1時間長くなります。
サマータイムは、日照時間を有効活用するための便利な制度ですが、慣れない日本人にとっては混乱を招くこともあるので事前準備をしっかり行っておきましょう!
イギリスのサマータイムは毎年3月の最終日曜日の午前1時(GMT)に始まり、10月の最終日曜日の午前2時(BST)に終了します。

スマホや時計の時間変更について
通常、スマホやパソコンなどの端末はサマータイムの開始・終了時に時刻が自動更新されます。ただし、自動更新が有効か不安な場合は、念のため以下の設定を確認してください。
- iPhone: 設定 → 一般 → 日付と時刻 → 自動設定オン
- Android: 設定 → 日付と時刻 → 日付と時刻の自動設定をオン → タイムゾーンの自動設定オン
一方で、ラジオコントロール機能が付いていない時計や手動設定のデバイスは時間が自動的に変更されません。夜寝る前に時計の針を1時間動かしておくとスムーズです。
日本とイギリスの時差も変わる
通常時(GMT)の日本とイギリスの時差が9時間なのに対して、サマータイム期間中(BST)の両国の時差は8時間になります。(日本が先行)
【具体例】
- 通常時: 日本時間の正午 → イギリスは同日の午前3時
- サマータイム期間中: 日本時間の正午 → イギリスは同日の午前4時
サマータイムの切り替え日に渡航する場合、出発時刻や到着時刻が変更される可能性があるため、事前に確認しましょう!
サマータイムの開始&終了日早見表
年 | 開始 (午前1時) | 終了(午前2時) |
2025年 | 3月30日 | 10月26日 |
2026年 | 3月29日 | 10月25日 |
2027年 | 3月28日 | 10月31日 |
2028年 | 3月26日 | 10月29日 |
2029年 | 3月25日 | 10月28日 |
2030年 | 3月31日 | 10月27日 |
まとめ
イギリスのサマータイムは、日照時間を活かして暮らしを豊かにする独特な制度です。
日常生活への影響はもちろん、時間変更による注意点を事前に理解することで、旅行や日々の予定がよりスムーズになります。
夏にイギリスを訪れる際には、長い日照時間を最大限利用して滞在を楽しんでみてください!