チャールズ国王の戴冠式ガイド・見どころや日程解説
この記事では、2023年に開催される「イギリスの新国王チャールズ3世とカミラ王妃の戴冠式」について当日のスケジュールや見どころを詳しく解説し、関連祝賀イベントについても紹介しています。
この記事を参考に、歴史的な一大イベント&新時代の幕開けを目撃しましょう!
1. チャールズ国王の戴冠式はいつ?
2022年9月8日のエリザベス女王崩御を受け、イギリス君主に自動的に即位されたチャールズ3世。
チャールズ国王の戴冠式は、2023年5月6日(土)にウェストミンスター寺院で開催されます。
「戴冠式」とは、君主に王冠を戴かせる儀式のことであり、その儀式によって君主がイギリス国教会の長としての地位を正式に確立し、君主の称号と権限が移譲されることを示します。
つまり、象徴的な意味と物理的な行為の両方を含む、とても重要な儀式であると言えます。
次からは、1953年のエリザベス2世の戴冠式以来、約70年ぶりに行われるチャールズ3世とカミラ王妃の戴冠式当日のスケジュールや見どころをご紹介。
2. 戴冠式当日の流れと見どころ解説
ここからは、歴史的なセレモニーとなる戴冠式当日の2023年5月6日の流れを、筆者が特に注目するポイントを織り交ぜながら解説していきます。
英国の戴冠式はウィリアム1世(戴冠1066年)以来、ウエストミンスター寺院で行われてきた歴史があり、今も約1000年前と同じ様式のセレモニーが受け継がれていますが、チャールズ3世の戴冠式では、現代のイギリスの民族的多様性を反映する「近代的な君主制」という国王の意向を盛り込んだ一面も見られそうです。
チャールズ3世はウェストミンスター寺院で戴冠式を行う40人目の君主となります。
1. 国王のパレード 10:20am~(日本6:20pm)
2. 戴冠セレモニー 11:00am~(日本7:00pm)
3. 戴冠記念パレード 1:00pm~(日本9:00pm)
4. 宮殿バルコニー 2:15pm~(日本10:15pm)
国王のパレード 10:20am~
戴冠式の一日の始まりは、The King’s Processionと呼ばれる「バッキンガム宮殿からウェストミンスター寺院へのパレード」です。
2023年4月10日にパレードのルートが公式発表されました。
上の地図に「パレードの一般観覧エリア」や「パブリック・ビューイング・エリア」も加えたのでご参考にどうぞ。一般向けエリアがオープンするのは、5月6日当日の朝5~6時(↑地図参照)となるようです。それ以前に場所取りすることはできないようなので、現地で観覧予定の方はご注意を。
国王のパレードのルートは…
- バッキンガム宮殿 10:20am
- ザ・マル
- アドミラルティ・アーチ
- ホワイトホール
- ウェストミンスター寺院 10:53am頃到着
ダイアモンド・ジュビリー・ステートコーチ
ジョージ4世の戴冠式以来、戴冠式のパレードで使われる馬車は「ゴールドステートコーチ」と決まっていましたが、チャールズ国王がウェストミンスター寺院に向かうパレード(King’s Procession) では「ダイアモンド・ジュビリー・ステートコーチ」が使用されます。
「ダイアモンド・ジュビリー・ステートコーチ」とは、エリザベス2世のダイアモンド・ジュビリー(在位60年)を記念し製造された馬車で、アルミニウム製の黒ボディが素敵です。
6つの油圧式スタビライザー、エアコン、自動開閉窓のついた乗り心地の良い馬車なのだとか。
通常、ダイアモンド・ジュビリー・ステートコーチはロイヤルミューズで一般公開されています。
戴冠セレモニー 11:00am~
国王と王妃がウェストミンスター寺院に到着すると、「午前11時」より伝統的な戴冠の儀式(Coronation ceremony)がはじまります。
セレモニーが行われるのは、寺院内の「主祭壇とコスマテスク装飾の床」があるエリアです。(詳しくはウェストミンスター寺院の観光ガイド記事も参考にどうぞ)
儀式の流れ
- 認知式 (The recognition)
国王は戴冠の椅子の傍らに立ち、カンタベリー大主教によってアビーに集まった人々に紹介される。会衆は”God Save the King!”(神よ、国王を守りたまえ)と叫び、トランペットの音が鳴り響く。 - 宣誓(The oath)
国王は、法律と英国国教会を支持することを誓う - 油注ぎ式(The anointing)
カンタベリー大主教が、戴冠の椅子に座る国王の手、胸、頭に聖油を注ぐ - 叙任式(The investiture)
レガリアの贈呈が行われ国王が聖エドワード王冠を戴く。
寺院の鐘が2分間なり、英国各地で礼砲が放たれる。 - 即位式と敬意の表明(The enthronement and homage)
国王は玉座へ移動。貴族たちが君主の前に跪き敬意を表する(*チャールズ国王の戴冠式ではウィリアム皇太子のみが行う予定)
続いて、カミラ王妃が油注ぎ式を受け、冠を戴き、玉座につきます。
次より、戴冠式で重要な役割を担う「戴冠式の椅子」と「レガリア」について紹介。
戴冠式用の椅子とスクーンの石
戴冠式用の椅子 (Coronation Chair)とは「聖エドワードの椅子」とも呼ばれ、エドワード1世(1239-1307)の命により「スクーンの石」を収める為に1300年に作られた木製の椅子のことです。
1308年にウェストミンスター寺院で行われたエドワード2世の戴冠式以来、君主が王冠を受ける際に使用されてきたと言われています。
通常、戴冠式の椅子はウェストミンスター寺院で一般公開されています。
スクーンの石 (Stone of Scone / Stone of Destiny)とは、元来、歴代のスコットランド王が戴冠する際に立っていた石のことで、エドワード1世が、1296年にスコットランドへ侵攻した際にイングランドへ持ち帰ったという歴史があります。
スクーンの石は1996年にスコットランドに返還されたものの、チャールズ3世の戴冠式の為、一時的にイングランドに戻ってきます(戴冠式後に返還)。
戴冠式当日は、戴冠式の椅子に収まったこのスクーンの石にもぜひ注目してみましょう。
レガリア
戴冠式で登場する、王笏(sceptre)や宝珠(orb)、王冠(St. Edward’s Crown)、そして、先ほど紹介した戴冠式の椅子 (Coronation Chair)などは、「レガリア」と呼ばれる戴冠式には欠かせない王を象徴する品々です。
いわば、日本の「三種の神器」のような存在ですね。
通常、イギリス王室のレガリアを含む戴冠宝器は、世界遺産の観光地ロンドン塔で一般公開されています。
数あるレガリアの中でも、戴冠式で最も注目したいのが「王冠」。
エリザベス女王2世の戴冠式では、女王は王冠、フィリップ王配 (プリンス・コンソート)はコロネットが授与されましたが、今回の戴冠式ではチャールズ国王に加え、カミラ王妃(クイーン・カミラ)も「王冠」を戴きます。
以下、チャールズ国王とカミラ王妃の王冠について紹介します。
チャールズ国王の王冠
チャールズ国王は、「聖エドワードの王冠 (St Edward’s Crown)」。
- 22カラットゴールド
- 444個の宝石
- 高さ30cm
- 重さ2.23kg
聖エドワードの王冠は、1661年のチャールズ2世の戴冠式のため作られ、以来、戴冠式で頭上に戴く時にのみ使用されてきた王冠です。
聖エドワードの王冠のその重さから、君主が戴冠式後にウェストミンスター寺院を後にする際には「大英帝国王冠」(Imperial State Crown)をかぶるのが伝統となっているのだとか。
また、聖エドワードの王冠は、英国の政府組織や軍隊、警察を始め、造幣局のロイヤルミント、郵便事業を担うロイヤルメールなどのロゴなどにも使用されており、英国民にとってお馴染みの王冠と言えます。
聖エドワードの王冠も大英帝国王冠も、通常はロンドン塔で一般公開されています。
カミラ王妃の冠
カミラ王妃が授かる冠は、メアリー王妃の冠 (Queen Mary’s Crown)。
- 1911年製造
- 銀メッキ
- 2200個のダイヤモンド +
- 高さ 25cm
- 重さ 590g
この冠も通常はロンドン塔にて一般公開されていますが、2023年2月中旬、戴冠式に備えマイナーな修飾をするため、一旦、一般公開はお休みに。
エリザベス2世を追悼し、生前によく身につけられていたダイヤモンド -カリナンIII(94.4カラット)、カリナンIV(63.6カラット)が据えられる予定なのだとか。
また、取外し可能な8本のアーチのうち、4本が取り外されるとのこと。
戴冠式のゲストは?
エリザベス2世の戴冠式には8000名以上のゲストが参列したそうですが、今回は安全基準の関係から2000名程度になる模様。
日本からは、秋篠宮ご夫妻が出席される予定です。
- 英国のロイヤルファミリー
- 英国の政府関係者
- 各国の王族や首脳
- 異なる宗教やコミュニティの代表者 など
ヘンリー王子とメガン妃の戴冠式出席については様々な憶測が飛び交っていましたが、ヘンリー王子のみが出席され、メガン妃や2人の子どもたちは欠席となることがバッキンガム宮殿により正式発表されました(4月12日追記)。
戴冠記念パレード 1:00pm~
ウェストミンスター寺院での戴冠セレモニーが終了すると、チャールズ国王とカミラ王妃は「ゴールド・ステート・コーチ」に乗り、The Coronation Processionと呼ばれる戴冠記念パレードを行います。
戴冠記念パレードのルートは…
- ウェストミンスター寺院 1:00pm頃
- ホワイトホール
- アドミラルティ・アーチ
- ザ・マル
- バッキンガム宮殿 1:30pm頃
ルートは、戴冠式に向かう「国王のパレード」と同じで、オックスフォード・ストリートやマーブルアーチまでパレードを行った1953年のエリザベス2世の戴冠時と比べると遥かに短いルートとなりますが、英連邦と英国海外領土からの軍隊、英国軍の全軍種、君主の近衛隊など、約4000名が参加する盛大なパレードとなりそうです。
ゴールド・ステート・コーチとは?
戴冠記念パレードで使用される「ゴールド・ステート・コーチ」とは、1762年にロンドンで製造され、ジョージ4世以来全ての戴冠式で使用されてきた馬車のこと。
- 金箔に覆われ、側面には彩色の絵画パネルが飾られた豪華仕様
- 重量 4トン、奥行き 7.3m、高さ 3.7m
通常、ゴールド・ステート・コーチはロイヤルミューズで一般公開されています。
宮殿バルコニーとフライパスト 2:15pm~
戴冠式の一日を締めくくりは、国王と王妃がその他の王室メンバーと共にバッキンガム宮殿のバルコニーに集い、60機を超える航空機が宮殿上空を飛行するのを見学するイベントです。
バッキンガム宮殿前にまっすぐのびる通りザ・マルには国民が集い、国王と王妃の戴冠を祝福します。
エリザベス女王の戴冠式の日には、150機を超える航空機がバッキンガム宮殿上空を儀礼飛行したそうですが、悪天候から午後5時頃に開催となったのだそうな。
5月6日は、お天気に恵まれると良いですね。
次項からは、5月7日と8日に予定されている、関連の公式祝賀行事を紹介しています。
3. 公式祝賀行事スケジュール一覧
ここからは、5月はじめの3連休、「コロネーション・ウィークエンド」に開催される祝賀イベントについて紹介しています。
2023年5月8日の月曜は、チャールズ3世の戴冠を祝い祝日(バンクホリデー)となります。
イギリスに滞在中であれば、各地で開催されるお祝いイベントに参加してみては?
5月7日 – The Big Lunch / ストリートパーティー
Big Lunchとは、地域のコミュニティや近所の人々が様々な食べ物や飲み物を持ち寄り、道路や個人宅、公共施設、庭などで祝賀パーティーを行うイベントのこと。
プラチナジュビリーの際も、英国全土で開催されました。
詳しくは、Big Lunchの公式サイトへ。
5月7日 – ウィンザー城での祝賀コンサート
7日の夜8時からは、チャールズ国王とカミラ王妃の戴冠を祝うコンサートがウィンザー城で開催されます。
*観覧チケットの抽選はすでに終了しています。
2022年のプラチナジュビリーの時には、バッキンガム宮殿でのコンサートが開催され、オープニングの「くまのパディントンとエリザベス女王のショートフィルム」が話題となりましたが、今回のコンサートでは「くまのプーさん(Winnie the Pooh)」がどこかしらでフィーチャーされるようです。
【コンサート出演者】
コンサートのホストは、映画「パディントン」や「ダウントン・アビー」などでお馴染みの英俳優ヒュー・ボネヴィル氏。
- テイク・ザット
- ライオネル・リッチー
- ラン・ラン(ピアニスト)
- ケイティ・ペリー
- アンドレア・ボチェッリ
- フレイヤ・ライディングス
- トム・クルーズ
- オリー・マーズ
- DJ ピート・トング など
コンサート内では、プロジェクション、レーザー、ドローン、イルミネーションなどを使った英国各地で行われる光のディスプレー「Lighting up the Nation」にも要注目。
このコンサートは、プラチナジュビリーの時と同様BBC主催で、 BBC One, BBC iPlayer, BBC Radio 2, BBC Soundsで生中継されます。
5月8日 – The Big Help Out
The Big Help Outとは、地域のグループやチャリティー団体のボランティアに参加してみよう!というイベントのこと。
興味がある方は、公式Big Help Outのアプリでどんなボランティアがあるのか探してみましょう。
その他のイベント
これまで紹介した以外にも、英国各地で様々な祝賀イベントが予定されています。
この政府公式ページにあるイベント検索で、最寄りで開催されるイベントを探してみましょう!
最後に
いかがだったでしょうか?
5月は戴冠式、そして6月には国王のお誕生日を祝うトゥルーピング・ザ・カラーも開催予定で2023年は祝賀ムードで盛り上がりそうです。
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