アプスリーハウスとは?見どころとチケット予約
この記事では、ロンドンのハイドパークコーナーに佇む「アプスリーハウス」について、館内の見どころやチケット予約について紹介しています。
1. アプスリーハウスとは?

英語表記 – Apsley House (No 1 London)
建造年 – 1778年
英国指定建造物 – グレード I
「アプスリーハウス」は、ハイドパークコーナーに佇む、初代ウェリントン公爵のロンドン邸宅であった建物であり、数々のウェリントン家所有の美術コレクションを展示する博物館です。
初代ウェリントン公爵(アーサー・ウェルズリー)とは、ナポレオンとの戦い(ワーテルローの戦い1803年~1815年)で同盟軍を勝利に導いたイギリスの英雄であり、英国の首相(1828-1830年)でもあった人物です。
ウェリントン家がアプスリーハウスに住み始めたのは1807年のことで、初代ウェリントン公爵が首相だった頃、晩餐会や絵画コレクションのためのウォータルー・ギャラリーなどが増築されました。
アプスリーハウスは現在、英国の歴史的建造物を保護する組織「English Heritage」によって管理され博物館として一般公開されていますが、建物の一角は、未だにウェリントン家(第9代ウェリントン公爵)の住まいとなっています。
次の項目では、アプスリーハウス館内の見どころを紹介しています。
2. 館内の見どころ
アプスリーハウスは、日本人にとってマイナーな観光地かもしれませんが、実は見どころが沢山あり密かにおすすめの博物館です。
館内は、交通量の多いハイドパーク・コーナーにいることを忘れてしまうほど静かで、保存状態が素晴らしい展示品の数々は一見の価値があります。
見学の際は、オーディオガイド(入館料に含まれる)に沿って進むとスムーズですが、残念ながら日本語のオーディオガイドはありません (2022年夏時点)。
また、館内の写真、動画撮影は禁止されているのでご注意ください。
以下、館内の見どころを、ギャラリー(部屋)ごとに紹介しているので見学の際の参考にどうぞ。
ミュージアム・ルーム (Museum room)
- ヨーロッパ各国の要人からの贈答品である磁器製品の数々
- 1820~1850年の毎年6月18日、ワーテルローの戦いの勝戦記念に開催された晩餐会のセンターピースであった盾 (The Wellington Shield)
- マイセンのデザート皿(手塗り)- ザクセン王国の初代国王からの贈答品で、ウェリントン公爵に所以のある場所や出来事が描かれている。このうちの一枚には、18世紀当時のアプスリーハウスが描かれている。
階段の間 (Staircase room)
- アントニオ・カノーヴァ作のナポレオンのヌード像 (Napoleon as Mars the Peacemaker -1806年)
ナポレオンが好まなかった完成品を、ワーテルローの戦い後に英国政府が購入しウェリントン公爵に贈ったのだとか。
ピカデリールーム (Piccadilly room)
ウェリントン公爵が収集、依頼した絵画が飾られ、主に社交のために使用された部屋。
- デイヴィッド・ウィルキー作の油絵 (Chelsea pensioners reading the waterloo despatch – 1822年) – チェルシー地区のジューズ・ロウ (Jews Row)に置かれたテーブルに集まる年寄りの兵士たちの様子が描かれており、一人の兵士が6月18日の勝戦日にウェリントン公爵が送った官報を読んでいる。1822年のロイヤル・アカデミーでの夏の特別展示にて人気を博した絵画だったのだとか。
ダイニングルーム (Dinning room)
35人がけのテーブルがあるダイニングルーム。
- 千のパーツからなるポルトガル製の銀のテーブルウェア
半島戦争 (1807-1814)にてポルトガルでのウェリントン公爵の功績を称え1816年に贈られたもの。150人もの職人により4年もの歳月を費やし完成。
窓の反対側にある部屋の角には丸みがあるが、実はここは隠し扉になっていて使用人専用の部屋に繋がっていたとのこと。
シマ模様の客間 (Striped Drawing room)
ダイニングルームと比べるとこぢんまりとした四角い部屋には、ワーテルローの戦いでの戦友や自身の肖像画などがある。
ウォータールー・ギャラリー (Waterloo Gallery)
1828年に増築されたウォータールー・ギャラリー(ワーテルローの間)には、壁いっぱいに絵画が並ぶ館内で一番大きな部屋で一番の見どころ。
1820~1850年の毎年6月18日、ワーテルローの戦いの勝戦記念に晩餐会が開催された部屋でもあります。建築デザインはベンジャミン・ワイアットによるもので、ドア周りのデザインはベルサイユ宮殿のようなフレンチスタイル
絵画は…
- コレッジョ(ゲツセマネの祈り)
- ティツィアーノ (PORTRAIT OF A LADY KNOWN AS TITIAN’S MISTRESS)
- ルーベンス
- ベラスケス
- ヤン・ステーン
- ニコラース・マース (THE EAVESDROPPER)
窓のスペースには「鏡の引き戸」の仕掛けがあり、晩餐会の際にキャンドルの光が反射され、部屋がより豪華に見えるように造られたのだとか(館内スタッフの話)
ポルティコの客間 (Portico Drawing room)
- ウォータールー・ギャラリーでの晩餐会の様子を描いた絵画
- ウェリントン公爵の杖や補聴器など
- ナポレオンの肖像画
おまけ
最後にウェリントン公爵のおまけ情報をご紹介。
- 館内では敵であったナポレオンの像や肖像画などをいくつか見かけますが、2人が実際に会ったことは一度もなかったのだとか
- 長靴の英語名 – ウェリントン・ブーツの由来となったウェリントン公爵が履いていたブーツは、公爵が晩年を過ごし亡くなった場所でもあるウォルマー城内に展示されている
- ウェリントン公爵の埋葬地はセントポール大聖堂
3. チケット予約とアクセス

アプスリーハウスの入場チケットには、館内の順路や展示品の解説が聞けるメディアガイドが含まれますが日本語には対応していません。
チケットは日本語でのオンライン予約ができます。
アプスリーハウスは、お得な観光パスのロンドンパスやエクスプローラーパスでも入場できます。
【アクセス】
- 地下鉄 – Hyde Park Corner (ピカデリーライン)
- バス – 23, 74, 137, 414, 14, 2, 13, 16, 36, 52, 148, 390,