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イギリスNHS・GP登録手順や医療サービスを解説【渡英後は即登録】

イギリス長期滞在で慣れない環境の中、体調を崩す人は少なくありません。

安心してイギリスでの新生活をおくれるよう、いざという時の為、イギリスの医療サービスやそのシステムについて知っておきましょう。

この記事を読めば、NHSやGPの登録方法、歯科治療など一通りのことがわかります。

1. 英国医療サービスNHS・IHS・GPとは?

GPの登録方法やイギリスでどんな医療サービスが受けられるのかを解説する前に…

まずは、イギリスに長期滞在する方が英国の医療システムを利用する際に知っておきたい「NHS」「IHS」「GP」について解説しておきます。

NHSとは?

NHS(National Health Service)とは、イギリスの医療を統括する国民医療サービスの名称です。

NHSは公費負担医療のため、NHSと名の付く医療機関での受診、入院、治療などを受けるのは無料です。ただし、NHSのサービスであっても通常、「歯科診療」や「処方箋の薬」、「眼科検診」などは有料となるのでご注意ください。

次に紹介する「IHS」を支払い済みの方であれば、イギリス国民と全く同じNHSのサービスが受けられます。

IHSとは?

IHS (Immigration Health Surcharge) とは、イギリスに6カ月以上滞在可能なビザで入国する外国人が「ビザ取得時に支払うNHS利用料」のことです。

ビザの種類によってはIHSの支払い不要でNHSが利用可能なケースもあるかもしれません。(参考:GOV.UK: Who does not need to pay IHS)

IHSの支払い料は滞在期間により変わります。
IHSがいくらかかるのかは英国政府公式サイトGOV.UK: Calculate your IHSで確認できます。

Memo

IHSを支払わない短期滞在者もNHSを利用することは可能ですが、全額自己負担となるため渡航前の海外旅行保険への加入がおすすめです。海外旅行保険があればキャッシュレスで利用できる日系病院(日本語診療)もあり安心です。ロンドンの日系病院リストは、ロンドンで緊急事態!対応マニュアルのページで紹介しています。

GPとは?

GP(General Practitioner)とは「かかりつけ医」のことで、具合が悪くなったら一番最初に訪れるNHSの診療所となります。

NHSのサービスを利用するには、まず「GP登録」が必要となるので、次で解説する登録手順を参考に、渡英後は早めに手続きを済ませておきましょう。

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2. GP登録手順

GPの登録手続きをすることで、NHSの全ての医療サービスが利用できるようになります。

GP登録は簡単なので、渡英後すぐに済ませておきましょう。

以下より「イングランド」でのGPの探し方や登録方法の手順を紹介していくので参考にしてみてください。

ステップ1:最寄りのGPを探す

居住住所のポストコード(例 – SW1 2AA)を、NHS.UK : Find a GPで検索(イングランド)すると最寄りのGP一覧が確認できます。

新規患者を受け付けていないGPもある

検索一覧に出てくるリストの中には新規患者を受け付けていないGPもあるので、まずは各GPサイトで新規患者 (New Patient)を受け付けているのかチェックしてみましょう。
GPに直接電話して聞くこともできます。

ステップ2:登録手続き

最寄りに新規患者受付をしているGPが見つかったら早速登録手続きをしましょう。

登録の手続き方法は主に以下の3つがあります。

  • 登録したいGPのサイトでオンライン登録(オンライン登録のサービスが無いGPもあり)
  • GP登録専用フォームGMS1をダウンロードしGPに提出
  • GPでフォームを貰い提出

登録時に必要な書類について

NHS公式サイトの説明では、GPの登録手続きをする際には居住する住所やビザのステータスなどの「証明書類は必要はない」としています(2021年2月時点)。

ところが、GPによってはこれらが無ければ登録は受け付けないとしている場所もあるので、事前にHPや電話で確認しておきましょう。
(ちなみに筆者が利用するGPでは、身分証明と住所証明の2つの書類がないと登録できません)

渡英してすぐに住所証明を手に入れるには、英国のネット銀行monzoを利用するのがおすすめです。
詳しくは【はじめのイギリス銀行口座はmonzoで簡単】の記事をご参考にどうぞ。

ステップ3:登録完了レターの受け取り

GPでの登録手続き後、数日後に登録の完了を知らせる手紙が届きます。

この手紙には「かかりつけ医の名前」の他、NHSのサービスを利用する際に時々必要となる「NHSナンバー」が記載されています。

NHSナンバーとは?

NHSナンバーとは、NHSが個人の医療情報を管理するための10桁の番号(例:485 777 6539)のことで生涯同じナンバーが使用されます。(NIナンバーとの混同に注意)

GPでの健康チェックについて

GPに登録後はGPにて身体、血圧測定や生活習慣に関するチェック、家族の病歴(遺伝が疑われる)などの簡単な健康チェックが行われます。
持病がある方はこの時に伝えておくと良いと思います。

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3. GP登録完了後の手続きについて

GPの登録が済めば、体調が悪くなった際にGPやNHSの全サービスの利用が可能となります。

ここでは、NHSのサービスを利用する際に知っておきたい「その他の手続き」について紹介します。

NHS Appについて

NHS Appとは、NHSイングランドの医療サービスを利用する際に便利なアプリのことです。

GP登録が済みNHSナンバーがわかったらNHS Appをインストールしておきましょう。

【NHS Appで出来ること】

  • NHSナンバーの確認
  • GPの診察予約
  • NHSナンバーの確認
  • 検査予約のレター確認
  • 検査結果の閲覧
  • 処方箋の注文と履歴確認
  • COVID-19の予防接種履歴確認

GPの変更方法

引っ越しなどでGPを変更する際は、新しいGPにて新規患者として登録手続きをするだけです。

公式NHSサイトによると、現在のGPや新たに登録するGPにて、変更する理由を説明する必要はないとのことです。

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4. NHSの医療サービス内容を紹介

GPの登録後、NHSを通してどんな医療サービスが受けられるのでしょうか?
ごく一部ではありますが、以下に紹介していきます。

*主に「NHSイングランド」の情報となります。

Memo

NHSの英語での診察が不安であれば、NHSに通訳者(無料)を手配してもらえることがあるため、予約日が決まったらできる限り早く通訳が必要であることを伝えておきましょう。

GPでの診察

不調な時は、まずはGPでの診察を予約。
精神的な症状を含め、様々な体の心配について相談できます(歯科以外)。

Memo

ただの風邪の場合、殆どの風邪がウイルス性で自然に治ることから日本の様に沢山の種類の薬を処方されることは無いのであしからず。
最近は、患者が希望しても抗生物質の処方は出来る限りしない傾向となっているようです。

GPの予約は電話だけでなくオンラインでできたり、オンライン診察が可能なGPもあります。

診察は無料ですが、処方箋の薬代は自己負担となります(最寄りの薬局に行って処方箋を見せて購入)。

急を要する場合

急を要する場合には、病院の救急外来「A&E (Accident & Emergency)」に直接行きましょう。
最寄りのA&EはNHS.UK : Find A&Eで検索!

救急車が必要な際は「999」に連絡し「アンビュランス 」をお願いします。

「GPの診察時間外の時」や「急を要しないがどう対処したらよいかわからない時」などは、NHSの相談ダイヤル111に電話して指示を仰ぐこともできます。
この際、日本語通訳者を通しての相談ができることがあるので必要であればお願いしてみましょう。

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大型病院での診察・検査・治療

GPでの診察で専門家の診察や検査が必要と判断されると、GPより紹介状 (Referral)が病院に送られより詳しい診察や検査を受けることが出来ます。

病院での診察や検査の予約日時は後日手紙で送られることが殆どですが、NHS Appでもチェックできるはずです。

入院時

もしも入院となった際には、NHSの病院では入院中の治療費や食事などに加え、退院時に処方される薬も支払いの必要はありません。

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スクリーニング

NHSイングランドでは以下の様なスクリーニングテストが受けられ、一定の条件に当てはまる人にはNHSからスクリーニングのお知らせが届きます。

【NHSが提供する検診例】

  • 子宮がん検診 (Cervical screening)25~64歳の女性
  • 乳がん検診 (Breast screening)50~70歳の女性
  • 大腸がん検診(Bowl cancer screening) 50~74歳の男女
  • 腹部大動脈瘤検診(Abdominal Aortic Aneurysm screening)65歳の男性
  • 新生児検診(Screening for newborn babies)
  • 妊娠初期検診(Screening in pregnancy) など

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予防接種

NHSが無料で行っている予防接種 (vaccination / jab)には、子供の定期ワクチン接種や高齢者、妊娠中の方が対象のものがあります。最新の予防接種情報は、この公式NHSサイトのページでチェックできます。

海外渡航のためのワクチン接種は、Bootsなどの薬局で接種でき有料です。

新型コロナウイルスの予防接種は、重症化高リスクの方を対象とした無料接種が行われています。その他詳細は別記事の、イギリスでのコロナワクチン接種を解説を参考にしてみてください。

NHSによる無料のインフルエンザ予防接種は、毎年9月頃より、高リスクの人を対象に提供されます。薬局では自費の予防接種が提供されています。詳しくは、別記事のイギリスでのインフルエンザ予防接種について解説へ

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5. 歯科診療について

NHSを利用する際にはまずはGPの予約を取ることが殆どですが、「歯の問題」についてはGPを通さず「Dentist」を直接予約する必要があります。

最寄りの歯科はgoogleで「Dentist near me」と検索するか、NHSの公式サイトにあるFind a dentistページで見つかります。

イギリスの歯科治療にはNHSとプライベートがある

イギリスの歯科治療には「NHS診療」と「自由診療(プライベート)」の2種類があることを知っておきましょう。

多くの歯科では、NHS診療とプライベート診療のどちらも行われています。

NHS診療について

NHS診療だから無料!と思いがちですが、実は残念ながら「歯科に限っては支払いが必要」となります。

例外として、次に該当する場合はNHSでの歯科治療は無料です↓

  • 17歳以下の子供
  • 18歳以下の学生(フルタイム)
  • 妊娠中、または12カ月以内に出産した方
  • 公的扶助を受けている方

NHS診療にかかる費用は、その内容により大きく4つに分かれています↓
(各診療内容は簡略紹介なので詳しくは歯科で聞いてみてください)

【2024年9月時点のNHS歯科料金】

  • £26.80 – Band 1:検診、歯石除去とクリーニング(医学的に必要な場合)、X線撮影、知覚過敏または歯根の治療など
  • £73.50 – Band 2:Band 1の内容 + フィリング、根幹治療、抜歯、重度の歯周病の治療など
  • £319.10 – Band 3:Band 1&2の内容 + ブリッジ、クラウン、入れ歯、歯列矯正治療と装置など
  • £26.80 – Urgent treatment:緊急治療

NHSと言えど、治療が必要となるとかなりの出費となるため、心配な方は渡英前に「歯科治療補償のある保険」に加入してくると安心かもしれません。

プライベート診療

全額自己負担のプライベート診療では、例えばホワイトニングなどのNHS診療ではカバーされない審美歯科診療などが対象となります。プライベート診療で虫歯などの治療を受けることももちろん可能です。

NHSかプライベートのどちらを利用したらよいのかわからない時は、歯医者の受付や歯科医に相談することをおすすめします。

イギリスの歯科診療の質について

イギリスの歯医者について、在英約20年の筆者の個人的な意見となりますが….

多くの歯科医はNHSとプライベートの両方の診療を行っているケースが多いので、プライベート診療の方がNHS診療よりも技術が高い、とは特に感じません。イギリスで良い歯医者を見つけるには「NHS」か「プライベート」かよりも、「口コミ」を参考するのが一番なのではないかと思います。

最後に

いかがでしたでしょうか?

日本とは異なるイギリスの医療システムに初めは戸惑ってしまうかもしれませんが、調子が悪くなったら我慢せずに是非NHSを利用してみてください!

本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

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